together






「ダビ〜!!だっこ!!だっこぉ〜!!!」

「うん。ほらっ」

「わ〜い!ダビ、ダビ〜!!」

「いたっ!いたい!髪の毛は引っ張らないでくれ・・・」










日曜日。

今日は、ダビデ君が遊びに来てくれた。・・・のにも関わらず、うちの旦那様は仕事で夕方まで帰ってこない。

ま〜、一番残念がっているのは春だと思うけど・・・。だって、せっかく夏希といっぱい遊べるのにね。

朝、出かけるときも「オレ、休む!」とか言ってたくらいだし。

妻としてちゃんと送り出しましたけど・・・あの寂しそうな背中といったら・・・笑える。


「バネさん、いつ帰ってくるの?」

「五時、六時くらいだっていってたけど・・・それまでいられる?」

「うん、大丈夫。夏希に遊んでもらってるから」

「夏希?お兄ちゃんが遊んで欲しいって。手加減なしで遊んであげてね?」

「うん!ダビ!次、お馬さん!!」

「うい」



そして、ダビデ君は夏希を背中からおろして、四つん這いになった。

それに、頑張ってよじ登っている夏希。なんか、みていると微笑ましい。

まるで、・・・・・・・ってこれ以上言ったら春が怒るな。



「なに笑ってるの?

「ううん、なんでもない。じゃあ、私は今日は夏希と遊ぶの我慢して主婦業に専念しますわv」

「安心してて。夏はオレがちゃんと見てるから」

「ハハッ。こんなに子供が好きだったなんて、中学生時代思いもしなかったなぁ・・・」

「言っとくけど、子供にもてるタイプなんだよ」

「ハハッ そうなの?」

「ダビ〜!!ちゃんとお馬さんみたいにして〜!!」

「あ〜、はいはい」

「遊ばれるタイプ、または、振り回されるタイプ・・・?」

「うるさいよ、・・・」






まぁ、任せとこう。お客のもてなしは夏希に。

この頃、雨ばっかりだったからお布団も干さなきゃね・・・いっぱい汚れ物あるし。

あっそうだ!春のスーツ、クリーニングに出しに行かないと。

それと、今日は夕飯何にしよう?最近、家でばっかりだったから、外食とか?

そうとなったら、春にメールだ☆







ピッピッピ




ダビデ君が来てるよ☆
夏希と遊び中です。
何時頃帰る?できれ
ば今日駅前のレスト
ランで外食したいん
だけど・・・いい??
早く帰ってこれる?





「あれ?バネさんに、メール?」


ダビデ君がちょっと疲れ気味に後ろから覗き込んできた。

夏希のほうは、もうおねんねしちゃったらしい。どうりで、わんぱく王子の声が聞こえなかったわけだ。


「うん☆あっそうだ、ダビデ君夕方も空いてたら一緒にレストランに食べに行かない?」

ダビデ君が来てくれたら、多分春も喜ぶだろうし。

「え?うん。いいの?」

「いいに決まってるじゃない」

「じゃあ、お言葉に甘えて」


〜♪


「あ、返事来た」





いいぜ。じゃあ、六時に
駅前で。食うもの考えと
けよ?ダビデに今日は奢
ってやるって言っといて
くれ。








・・・その着メロ・・・」

「うん、笑点〜」

「オレは好きだけど・・・・・・・・・バネさん知ってるの?」

「知ってるわけないじゃん!多分怒るもん」

「あっそう・・・・・」

「ちなみに春の着メロは私が決めてるのよ?」

「なに?」

「ラムのラブソング」

(絶対いつもマナーモードなんだろうな・・・・・・)

「ん?なんか言った?」

「いや、なんでもない・・・・・」

「なんか飲む?そろそろ休憩しないと私もダビデ君も倒れちゃうし」

「俺、甘系のジュースがいい」

「お安い御用です!」


冷蔵庫のなかには、いつもいっぱい入ってる。

どうしてって?ダビデ君以外にもお客さんが頻繁にいらっしゃるから。

たとえば、剣太郎くんとか、サエくんファミリーとかね。

えーっと、ミックスジュースでいいかな?





「はい、どーぞ」

「サンキュ」

「なんか、二人って久しぶりだなぁ〜」

「いつも、バネさんいたから」

「ホント仲良いんだから。中学のとき私、春と付き合う前も後も、ずっと二人に嫉妬してたんだよ?」

「マジ?」

ホントに驚いてる顔しちゃってる。

「半分冗談ですけど、半分本気」

(俺もなんだけど・・・・・)

「え?」

「いや、なんでもない」



それから一時間くらい昔話に花咲かせた。

なんか、すごい青春してたなぁ〜と我ながら恥ずかしくもなるけど、でも、やっぱり落ち着く。

今も幸せだけど、あの頃が泣きたくなるほど懐かしく思える。

まるで、老人のように感傷に浸っていると・・・







?」

「なに?」

「やっぱり今だから言えることだし言っとく」

「へ?」



とバネさんが付き合うまで、俺のこと好きだったんだ」



「・・・・・・・・・・・・・・マジですか?」

「大マジ」

いつもの冗談じゃないらしい・・・。

「・・・・ホントですか。気付かなかった」


驚きのあまり、無言になってしまった私。だって、本当に知らなかったから。

あの頃は、春以外見えてなかったからね。


「当たり前。バネさん以外には言ってないし」

「え、春は知ってたの・・・?」

とバネさんが結婚した後・・・ね」

「そうだったんだ・・・」

「いい奥さんになっちゃってるし、バネさんに渡して正解だった」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」





「気にするなって。最初からバネさんに勝てないだろうとは思ってたし、それに・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」


            「それに俺来月結婚するし」


「・・・・・・・・・・・・・・・」

?」










「もっと早くいいなさい!!そういうことは!!!!!!!」

パシコーンッ

「いたっ!」

怒りのあまり思わず、新聞で頭をはたいてしまった・・・

絶対、春に影響されちゃったよな、私。

「ナイスツッコミ、・・・・」






まぁ、いいか。幸せそうに笑ってる。

ダビデ君はいい子だから、きっと可愛くて、いいお嫁さんなんだろう。

十中八九、春に似たツッコミ上手なお嫁さんなんだろう。









「え!?春もしらなかったの!?」

「知るかってんだよ・・・今聞いたんだぜ?」

「だって、昨日プロポーズしたんだもん」

もしかして、一番に知らせてくれたのかしら。

「ねぇねぇ、ダビ〜?ぷろぽーずって何〜???」

「 プロ テニス選手の決め ポーズ ・・・・」

「バカなこと教えんじゃねえ〜ダビデ!!!!!」


バコッ


「いたっ!!!」

「春ぅ?お願いだから夏希のまえでツッコミをいれないで・・・マネしちゃったらどうするの」

未だに成長しきれていない二人・・・。心なしか、春が微笑んでいたように見えた。

やっぱり、幼馴染でずっと一緒だったから、まるで自分のことのように喜んでいるんだろう。

でも、一応レストランなんだから静かにして欲しい・・・。

でも、やっぱりダビデ君が結婚しても二人はずっとこの調子なんだろうな。

見てて飽きないのには、いいんだけどね。




「それにしても、結婚式楽しみだな〜」

「お前、誰にスピーチ頼むんだ?」

「バネさん」

「は!!??マジかよ!!!」

「嘘だよ。会社の課長」

よかった・・・うちの旦那はあがり症だからなぁ。

多分、二、三行の文章も一発で空の彼方に飛んでいくだろう。


「社内結婚?」

「うん」


アラ?ちょっと、照れちゃってる。


「幸せにしてあげんだぞ?」

「しあわせにしてあぜんだぞぉ〜?」

「バネさんや夏に言われなくても分かってるし」






たくましくなっちゃって、ダビデ君。いい男になっちゃったねぇ。





「お幸せにね」

「黒羽家に負けないよ?」






あんまり笑ったりしないダビデ君が今日はたくさん笑ってた。

本当に心から願ってるからね。

君は私たちの家族同然なんだから。























名残惜しむ夏希をやっとのこと引き剥がし、

ダビデ君を見送ってから、家に帰り、私は夏希を寝かしつけた。

そして、お風呂から上がって、乾ききっていない頭をゴシゴシと拭きながら、

うちの旦那様は残念そうな顔をしていった。




「もう、寝ちまったのかよ・・・遊ぼうと思ってたのによぉ」

「ふふっ。今日はダビデ君といっぱい遊んだから、パパは用済みですって」

「マジかよ!!」

「来週までお預けね?」

「・・・・・・・・へい」














「ねぇ、春」



冷蔵庫から牛乳を出し、がぶ飲みしている春は「ん?」っとこっちを向いた。



「ダビデ君、なんで今日来たか分かった」

「結婚のことか?てか、あいつが来るのに理由なんてあるのかよ」

「それも一つだね」

「ほかになんかあるのか?」






「・・・・・愛の告白・・・・・」






思いっきり、牛乳を噴出しそうになるのを堪えている春・・・・・おもしろい。


「ケホッゲホッ・・・・・されたのか!?」

「昔私の事好きだったって。今は大事な人がいるからこそ言いに来たのよ、多分」

「そっか。」


私はそっと立ち上がって、春を後ろから抱きしめた。

抱きしめるには大きすぎる背中だけど。


「ねぇ。一つクイズです」

「もし、あの時、ダビデ君と春に告白されてたら私はどっちを選んでたでしょう〜?」

「・・・・・・・・・・・・・・」

なんとなく、後ろからでも顔を赤らめているのがわかる。

動揺していらっしゃる?
















「俺・・・・・・・・・・・・・・」

「ピンポーン正解です!簡単すぎました?」

あぁ、なんて私は幸せなんだろうとノロケてしまう。しょうがないけどね

まだ小さい私の王子様も、ダビデ君みたいに好きな人ができて、結婚しちゃうんだろうけど、

この私の腕で抱きしめている人、この私のいとしい人だけはずっと離れないから



「正解者にはプレゼントだろ?」

「え?」



半分無理矢理だけど、優しいキスをしてくれた。

未だに、新婚ホヤホヤだと思う。

「明日会社だけど・・・いいの?」

「いいって、いいって!てゆうか、だけはちゃんと俺の相手してくれっての」

夏希より甘えんぼですね、アナタは。

「はいはい・・・・」


「愛してるぜ・・・・」

「私もです」














後日、ダビデ君からの電話で

「言うの忘れてたけど、今年の冬、子供生まれるから・・・・」

そして、夏希が見てる中、二人で電話にツッコミをいれた。

「「忘れるなっつーの!!!!!!!!」」

















END














20050405
思いのほかダビデいじりが楽しかった記憶が・・・