「樹ちゃんアリガトウ!」
「どういたしましてなのね」
最後にサエと一g差で、俺が優勝した。
自信はあったけど、やっぱり計量の時はドキドキした。
サエに勝ったのがよけいにうれしかったのね、ちょっと怖かったけど。
だって、笑ってたけど目は笑ってなかったんだもん。
でも、いいや。
こんな近くで、二人で、俺の大好きな海で一緒にいられるなんて まるで夢のようなのね。
「やっぱり、いっちゃんはスゴイなぁ〜!」
「潮干狩りなら、誰にも負けないのね」
「コツとかあったりするの?」
「直感だから分からない」
「天性の才能だねぇ〜尊敬する・・・!」
のおかげなのね。
優勝できたのは、優勝商品がだったからだよ。
あいつらも同じ考えだったから、すごい競争率だったけど
潮干狩り対決なら俺が勝つに決まってるのね。
当たり前なのね。
「いっちゃん料理うまいしさぁ?」
「そりゃ、親が食堂で働いてるし」
「でも、すごいよねぇ。私料理なんて全然だし・・・」
「でも、の料理食べてみたいのね」
「え?」
「レストランのお礼に俺に作ってよ、料理」
「・・・・・・・・・いっちゃん、物好きだよね」
好きな子の作ったものだったら、誰でも食べれるよ。
「そんなに苦手?」
「あっ、そういえば、いっちゃんが学校休んだ日に調理実習があって・・・・」
「あっ、俺が法事だったときなのね」
「そうそう。それでね?みんなに食べてもらったわけなのですよ」
ひそかに嫉妬してしまっている俺は、ばれないようにの少し前を歩く。
「でね?みんなに苦い顔された」
「じゃ、次は失敗しないように俺が教えてあげるのね」
「まじ?いっちゃん」
「まじなのね」
「これで安心だ。このままじゃお嫁に行けないからさぁ。」
は笑った。
「・・・・・・れなら・・・・・・」
振り返ると いつものように微笑んでいるがいた。
「ん?なんかいった?」
「な、なんでもないのね」
今はまだ、君を守りきれるくらい強くないから 今はあいつらと俺で守る
いつかを護れるような男になるまで
もう少し待ってて欲しいのね
「いっちゃん」
「ん?」
「実はコレ、作ってきたの・・・・・・・」
「なに?」
「クッキー。レストランで食べてから、ね?」
「なんで?なんで?」
「今日のお礼!」
「あ、ありがとうなのね。めちゃくちゃ嬉しいよ」
「返品は受け付けませんから!」
はテレながら笑った。
「」
「なに?いっちゃん」
「俺以外に作っちゃ駄目。」
「え?」
「・・・・・・なんか作ったときは一番に俺が食べるのね」
これが俺の精一杯わがままだから、みんな許して。
End