「まさか、俺が優勝するとは・・・」
海沿いのレストランのペアご招待券が俺の片手に・・・?
信じられないぜ。
でも、もっと信じられないのは・・・・
「ありがとうね!!バネさん!!!」
好きな子がとなりにいること。
ずっと好きだった、が六角テニス部に入ってから。
明るく元気で、きれいで可愛くて、ノリが良くて面白くて、
なによりもマネとしてテニス部を一人で支えてくれている、一生懸命さに惚れてしまった。
あいつらが、みんなを好きだって気付いたのはその後。
かなりの剣幕だったなあいつら、俺が表彰台に立ったとき・・・
ダビデなんかダジャレ一つも言わなかったし。
(なんか、怖ぇ。)
でも俺は恋愛ってのよくわかんね〜から、サエや亮みてぇに積極的にはなれねぇし、
こんな機会、無駄にしちゃいけねーと思うわけ。
「バネさんもしかして、違う人誘いたかった?」
「あ?」
「だって、さっきからあんまり喋ってくれないからさ」
「いや、最初っから誘うつもりだったし、気にすんな」
「そう?うれし〜!!サンキュ〜」
でも、わかんねえんだよ、この状況をどうしたらいいのか・・・
俺ってば、変に緊張するし・・・
私服だし、いつも以上に可愛い気がする。
違う、まじ可愛い。
「あそこだよね?レストラン」
「もう着いちまったのか。七時からだったよな?」
「うん、招待券にはそう書いてあるね」
「早すぎだ・・・まだ六時じゃねーか!」
「レストラン近く散歩する?」
「・・・・・・・・そうするか」
なんか、気の利いた言葉が見つからねぇ。
かれこれ、もう三十分歩いてるが、声を出すのはずっとだ。
俺はの声聞くだけでいいんだけど、はつまんなくないか?
ソレが心配。
「みんないないとやっぱ緊張するね〜」
「ひさしぶりだもんな」
「だってなんか、六角テニス部って家族みたいだし、いつも一緒にいるからね」
「家族・・・・か」
「バネさんってお父さんみたいなんだよね」
「は?」
「風格がある」
「ハハッ なんだそれ・・・」
じゃあ、お母さんはだ。
と言いたかったが、ガラじゃないからゆうのやめた。
ハズいしな。
「なんかさ〜、私ばっかり話してるけどつまんなくない?」
「え?」
「オシャベリだからさ〜私。久しぶりにバネさんと二人で喋れてウキウキしてたんだけど・・・」
俺も。
「俺も・・・・・・・・・・ウキウキしてた」
「へ?」
「つまんなくないから、全然。むしろ俺がしゃべれね〜からがつまんないんじゃねぇかと思ってた」
「ハハッ!同じようなこと考えてたんだ私たち」
分かった。
にはいいたいこと言えばいいんだよ。
こいつは、なんにでも返してくれるんだ、笑顔で。
「もうすぐだね、七時。行こうか!」
「おう」
でも、ごめんな。
まだこの気持ちだけは言えない。
結構俺、根性なしなんだよ。
でも、いつか言うから ・・・!!
end