tete a tete
「先約がおったようじゃ・・・・・・」
目の前にはが眠っている。
せっかく わしのひみつのおひるね場所 なのにのぅ。
まぁ、その可愛らしい寝顔で許してやろうかの。
そっと 風に揺れているの前髪を撫でた。
「カクさん!カクさん!どう!?この船!!」
最近、遅くまで書いている船の設計図。
「は技術はすごいもんじゃが、設計図の描き方はまだまだじゃな?」
「うーん。やっぱし難しいわぁ〜」
「貸してみい」
そうして、ワシの机の横で うんうんと頷きながら真面目に話を聞いている。
こういうときばかりは、静かになるのぅ。
「あ〜やっぱり、カクさんの書いた船はキレイなぁ〜」
ワシの部屋に来たら必ず見ていく 昔に作った船の絵や設計図。
「あんまり見られたら 恥ずかしいんじゃがな・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
真剣に見入っている。聞こえてないらしい。
「・・・・・・・ホンマ、ウチまだまだやなぁ〜」
「いつでも、見せに来ていいんじゃぞ?ワシでよかったらな」
「はい!ありがとう、カクさん!」
最近一日の終わりに会うのが、いっつもじゃな。
「早く寝るんじゃぞ?」
「はーい!」
って、いつも言ってるんじゃがなぁ?
まぁ、寝ているのはまぎれもなく 。
あの後、また書き直しているんじゃろう?
の横にはピカピカになった工具とタオル。
「本当に大事にしとる。誰かから貰ったモノなのかのぅ・・・」
たしかにが持っているにはいささか年期が入ったものであった。
「にゃー」
青い瞳の黒猫がカクの背中にじゃれて来た。
「ん?クロか。なんじゃ?お前も昼寝しにきたのか?」
「にゃ〜!」
カクにアゴを撫でられて、上機嫌になったクロはカクのあぐらの上に乗った。
「ここも ひみつのひるね場所 じゃなくなってしまったな」
「にゃあ〜」
クロがカクの足から降りてのお腹の上に丸まった。
「あ〜こらこら。 が起きてしまうじゃろ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?」
起きてしまったか・・・・・
「クロはワシよりも、の上の方が好きらしいな?」
「ん?カクさん!どないしたん!?」
「こっちのセリフじゃ。ワシの特等席なんじゃぞ?ココ」
「アハハハvv・・・・・・・・てか、ここ人様の屋根の上じゃないですか!」
「だから とくとうせき なんじゃよ」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
顔を見合わせ 笑う二人。
ふと頭を起こすは、クロを見る。
「う〜、ナマコがおるせいでウチ起きられへんやん・・・・・」
「なまこ?」
「ウチがつけた この猫の名前!」
「・・・・・・・・そこはツッコんだ方がいいんじゃろうか?」
「にゃあ〜vv」
「ナマコも気に入ってるしなぁ?な?ナマコっ」
(アイスバーグさん並のネーミングセンスじゃ・・・・・・・)
「ココ気持ちよくていいですねェ〜。工場からも近いしっ」
ウーン!っとは背伸びをした。
「そうじゃろ?休みの日は いつもワシはココで昼寝するんじゃ」
「いい場所見っけ!また寝に来よっ!・・・・・・・カクさん、いい?」
「あぁ なら大歓迎」
「ヘヘッ!やったー!」
そして、ゆっくりと夕方まで眠った。
二人と一匹、なかよく気持ち良さそうに。
ふたりのひみつのばしょ になってしまった ワシの特等席
・・・・・・いや、二人以外ここには来れない と言った方が正しいんじゃが。
誰もこんな高いところに登ったりしないじゃろうて。
なにせ、はトビウオじゃからの?唯一ワシの速さについてこれる女の子じゃし。
まぁ、いつもとかわらない。むしろ いつもより心地よく眠れる気がする。
じゃが、すこし困ったことがある・・・・・・
「カク!!遊ぼうよぉ〜!!」
「おねぇちゃん!たかいたかいして〜?」
「お船見せてっ!」
「なにー?ふたりってこいびとどうしなのぉ〜?」
結局 こどもたちに見つかって、遅くまで遊んでしまうということじゃな。
いつもみたいに 飛んで帰ったらいい?
ワシは歩くのも好きじゃし、なによりと一緒に歩いて帰った方が楽しいじゃろ。
みんな、すまんな。
今だけをひとりじめじゃ。
「じゃが、たまにはみんなとも遊んであげるんじゃぞ?」
「へ?なんか言いました?」
がこどもたちを抱き上げながら、振り向いた。
「・・・・・・・・・・・・・いんや」
そしてワシは苦笑い。
みんなのひめさまじゃが、やっぱり今はワシとの でーと 楽しんでくれ。
END