Let‘s play cards!









「ダウト」


の一声。カク、ルッチは軽く頷いた。

タイルストンはパウリーが出したカードをめくり、大爆笑している。

そして、俯くパウリーは小刻みに震える。


「んんんんなんでなんだァァーーーーー!!??」



そのパウリーの悲痛な叫びに三人は冷静に耳を塞ぐ。

その中、タイルストンだけは豪快に爆笑している。

パウリーの叫びが一段落ついたあと、が軽くつっこんだ。



「パウリー・・・・・アンタ顔に出すぎやねん」

「なにが!?」

「ガハハ!!!弱ぇなぁ!!!パウリー!!!!!」

「うるせー!!」

「お前はやはりギャンブルにむかんのぅ・・・・・・」

「えぇぇぇ!?」

「ギャンブルしてる間、いつもよりさらにバカ丸出しの顔してるポッポー」

「ぬあんだとぉ!?オラ!!もっかい言ってみろルッチ!!!!」


の部屋・・・・・・まぁ、一番広い部屋だからなのだが、四人はココでなかよくトランプ。

最近、休日では仲間達で仲良くトランプをするのが日課になっていた。

まぁ、パウリーをギャンブルに連れて行かないためのの策なのであるが。

とりあえず、一応みんな楽しんでやっている・・・・・・のであろうか?



「って、なんで負けっぱなしなんだヨ!!!俺!!!」

「ただ単に才能がないんちゃう?」

「!!」

「ハッハッハッハ!!言われたな!!パウリー!!

パウリーのココロ 70のダメージ!!


カクが深く溜息をつき、パウリーを見た。

「とりあえずお前さんは顔に出すぎなんじゃ」

「か、顔??」

「お前の顔見れば嘘か嘘じゃないか一目瞭然じゃ」

「そ、そんな顔でてんのか!?俺!!」

「出てるなー?ねータイルストンの旦那?」

「そうだな!!出てるな!!な!?ルッチ!!」

「あぁ、バカみたくな ポッポー」

「お前一言多いんだよ!!!!!」



「・・・・・・・・クソッ!!」


パウリーがイライラしている理由はルッチのせいでもあるが、

なによりギャンブラー(自称)として屈辱的な言葉を言われたことに腹が立っていた。




「んな、怒らんでも・・・・」

「パウリー・・・・これを機会にギャンブルから足を洗ったらどうじゃ?」

「おお!!ナイスアイディア!!これで追っかけられる心配ねぇなぁ?オイ!」

「タイルストン・・・うるせぇし・・・」




落ち込むパウリーに見かねたはあることを思いつく。

「じゃ、とことん練習しようや!」

「「「「 練習?? 」」」」

「ってゆうても、ババ抜きやけどさ?」




「楽しそうじゃねぇか!!やろうぜ!!」

タイルストンが大きく叫んだ。

「お前は何やっても楽しいんだろうが・・・・・」

「ポッポー せっかくが案を出してくれたんだ。素直にやれ。ババ抜き」

「わし、ババ抜きニガテじゃ・・・・」


(貴方はトランプ、なんでも得意じゃないですか・・・・・)

四人は心で深くつっこんだ。







「じゃ、ジャーンケン ホイッ!」


というわけで、カク、、ルッチ、タイルストン、パウリーという順番に。

「パウリー ジャンケンまで・・・・・」

「それ以上言ってやらんでくれ 。こやつは昔っからジャンケンが弱いんじゃ」

「そうなの?」

「もういい!!さっさとはじめっぞ!!カクからだろ!?」



「はいはい」

そしてのカードから一枚引く。



どんどん どんどん 真ん中にカードが積もっていく。




「あがりぃ!!」

「お、が一番じゃな?」







「ポッポー あがりだな?」

「ルッチ おめでとー!」

と残るは三人。カク、タイルストン、パウリー。









「カクさんが残るなんて、えらいめずらしいなー」

「ポッポー ポーカーとか七並べならカクが一番強いのだがな」

「だから、ババ抜きはニガテだというておろう・・・・」

「じゃ、次俺がひくばんだよな!?」

タイルストンはパウリーの手持ちのカードへ指を伸ばす。

パウリーのカード、残るは2枚。








「これか!!??」

「・・・・・・・・・・・」


「いや・・・・これだァ!!!」

「・・・・・・・早くしろよタイルストン!!」


「んーやっぱやめてコレにすんぜ!!!!!!」

「・・・・・・・・・・・」




「やった!!あがりだぜ!!」


「なにっ!?」




「あーやっぱりなぁ・・・」

「うるせぇよ!!!」









残るはパウリーとカク。

「さっさとパウリー引きやー?」

「分かってる!!」


カクはハートのAとジョーカー。

パウリーのカードはハートのA。






「やっぱりお前がジョーカー持ってたんだな?」

「そうじゃ」

「ほらっ!!とるぞ!!カク!!!」

「うるさいのぅ・・・・分かっておるわい。ホラ」




そして、パウリーは問う。

「左か、右か・・・・・・・」





「まだかのぅ・・・・・・?」

「だァってろ!カク!」


パウリーはこれでもかというくらい、顔の筋肉を緊張させている。

対照的にカクの顔は、かすかにも動かない。



パウリーの手が右のカードから左のカードへ。左のカードから右のカードへ。





たちまでも心臓の音が早くなっていくのが分かる。

カクだけはいつもとなんら変わりない顔。



「こ、これだろ!?」

「そうじゃないか?」

「なんだその適当な言い方はァ・・・・!」

「こんなの運まかせに決まっておろうが」



右のカードを自分のカードに持っていくパウリー。



「・・・・・・・・・・・クッソ!!」

「ポッポー ジョーカー引いたな?」

「じゃ、次カクさんが引く番」





「早くキレ。パウリー」

後ろにカードを隠し、思いっきりカードを切るパウリーの顔は真剣。

そして、いきおいよくカクの前に出す。

「とれ!カク!!」





「・・・・これにしよう」

考える時間、一秒。すぐさまカードを引き抜くカク。

「ぬあ!!早すぎだぞ!!お前!!」

「そんなの勝手じゃろうが・・・・」





「ど、どっちの勝ち!?」

シズが目をキラキラさせて二人に聞く。



「・・・・・・・・・・・・・はい」

カードを下に放ったのは、カクだった。


「「「あぁ・・・・・やっぱり・・・・・・」」」




「カクさんあがりぃ!!勝利ー!!」

「っっくっそぉ!!!!!!なんでだァーーーーー!?」

残りのカードを宙に投げる。

「ポッポー コレで分かったな」

「ガハハハ!!!パウリー、お前ホント弱ぇな!!」


「クルッポー ギャンブラーとしての技術だけでなく、一番必要な運を持ち合わせてないということだ」


「・・・・・・・・・・・・・・」

返す言葉もないパウリー。


「あのいつもの負けっぷりでもう気付いてるんやと思ってた・・・・・・」

「ハハハッ!!向いてねぇんだよ!!」

「トランプでこれだけ負けられるとは、ある種の才能じゃなァ」




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」












この日以来、パウリーの後輩はとばっちりを食らうことになった。

一番ドックの後輩達の昼休みは当分、パウリーとトランプ・・・・・・・


「なんてハタ迷惑な話じゃ・・・・・」

「まァ、ギャンブルに明け暮れるよりはいいですよっ!」

「ガハハ!!アイツ、また負けっぱなしらしいぞ!!!!」

通りすがりに丸太を掲げたタイルストンが大声をあげた。

「ホンマ!?・・・・なんか、パウリーがかわいそうになってきた・・・・」

「クルッポー がそんなこと思う必要ない。アイツの自業自得だ ポッポー」



「・・・・・・・一緒に練習してあげようかな・・・・・・・・」



「「必要ない」」

カクとルッチの声がはもる。

「ポッポー アイツのギャンブルの才能のなさは今に始まったことじゃない」

「そうじゃ。が犠牲になることはないんじゃ」




「は・・・・・はぁ。さいですか」





「なんでだァーーーーーーーーー!!!!!」

パウリーの声が大きくこだまする。







「見てみぃ」

「クルッポー あァならないように、あいつには当分近づくな」


ロープのビュンビュン回っている音とともには言った。

「なるほど・・・・・・」




は悟った。

一番かわいそうなんはとばっちり受けてる人であると。

「ポッポー あの馬鹿のせいでしばらくトランプ、出来ないな・・・・・」




の溜息とともに、カクはやれやれと肩を落とした。













END