〜DRINK ALL NIGHT〜
が、ウォーターセブンに来て一日目。
もう日が暮れようとしていた。
一応仕事は六時までと決まっているらしいので、ぞろぞろと一番ドックの職人が門を通っていった。
はアイスバーグと別れ、美人秘書カリファに部屋に案内されている途中。
「カリファさん?部屋ってどんなん?」
「まぁ、いわゆる会社が経営するマンションのようなものです。女の子という事なので、一応2LDKの部屋を用意しています」
「え?ひろ!!」
一番ドックの社員はみんな同じ建物なので、ノソノソととカリファの後ろを歩く三人+一羽。
「しっかし、アレをマンションっていうのかよ・・・・・・」
「確かにのぅ?じゃが、快適といえば快適じゃがな」
「クルッポー 俺はこのバカのイビキが聞こえてきて、睡眠が十分にとれない」
「俺はイビキなんてかかねぇ!!」
「自覚ないのか?」
「イビキかきそうな顔やもんなぁ?」
「どんな顔だよ!」
はパウリーの顔に指を刺し、笑った。
「オッサンみたいな顔やんvv」
「オッサンいうなっ!」
ふと疑問におもう、。パウリー達に目をやった。
「なぁ、パウリー?」
「なんだよ」
「あんたら部屋となりなん?」
「不服ながらな、ポッポー」
「俺もだよっ!」
ふ〜ん、なんか楽しそうやなぁ・・・。
「さん、私たちはこっちですよ?」
気付いたら、大きな(しかも、かなり奇抜な)建物の前だった。
カリファが螺旋状階段の方を指差す。
階が違うので、行き方が違うらしい。
「じゃあ、ゆっくり休めよ?」
「ポッポー おやすみ」
「ふんっ・・・・・」
「おうっ。今日はいろいろありがとうなぁ。オヤスミー!」
そしてはカク達と別れ、階段をのぼっていった。
「コノ階段は四階まで直接繋がっています」
「なんか不思議な建てモンですねぇ」
「ココの社員たちが作っているので、普通の建物ではないので迷わないようにお気をつけ下さい」
「あの〜・・・・」
「どうしました?さん・・・・」
「やっぱりカリファさんの方が先輩やし、ウチ入ったばっかりやし・・・・・・」
「じゃあ普通に話すわ。ちゃん?」
「エヘヘ、すみませんvv」
感じのイイ人やなぁ?すっごいべっぴんさんやしvv
話し込んでいるうちに四階まで上っていた。
は手すりから身を乗り出し、下を見る。
「結構高いところなんですねぇ」
「高いところは嫌いかしら?」
「いえ!むしろ大好きです!!しかも職業大工ですんで・・・」
「それもそうね?でもココには高所恐怖症の社員も何人かいるわよ?」
「ハハっ!!すごいなぁ、ガレーラカンパニー・・・・」
「ちゃんはこの404号室よ。一応カギもついてるわ」
「ほかの部屋は?」
「ついてないわね。すぐに みんなカギを無くすし、カギかけないし、意味がないのよ」
「なるほど・・・・・」
「じゃあ、コレ」
は GALLEY1‐404 と書かれたカギを受け取る。
「じゃあ、また明日ね?」
「はい!いろいろありがとうございました!」
ガチャ
がおそるおそる入ってみると、今まで見たことの無いような光景が目に映った。
「うわっ〜!?」
大きなガラス窓に、南国風のソファー。
ベットはピンク、小さいけれどオシャレなシャンデリアまである。
「バスタブあんねや。ウチの家なんか比べ物にならんなぁ」
まぁ、家と言っても難破船改造した家やけども・・・・。
「なんか、落ち着かんなぁ・・・やっぱりウチにはちょっと散らかってるほうがええわ」
と ぶつぶついいながら、窓を開けた。
「・・・・・・・・うわ〜キレイな星空や。ウチの村のんと、あんま変わらんなァ」
さすが中心街。最上部なだけあって眺めは最高やね。
「やっと違う場所に来たって感じがする・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・って、アカン!!!!やっぱ、寝られへん!!!!」
バッ!とベットから起き上がる。
やっぱ、抱きマクラもって来るべきやったかなぁ〜。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ううん。違うな、理由は別のところにある。
「散歩でもするかな〜・・・・・」
が階段を駆け下りていくと、話し声が聞こえた。
「久しぶりじゃのぉ〜三人で飲むなんてなァ?」
「ポッポー こんなに買ってきて飲めるのか?」
「大丈夫、大丈夫!俺が全部飲んでやっからよぉ〜?」
「クルッポー 一番につぶれる奴がいう台詞か バカ」
ハットリがパウリーに指(羽)をさして、ツッコミをいれた。
「うるせー!ルッチ!!やるか!?」
「パウリー、言ったのはハットリくんやって!」
「「「」」」
「やっほーい」
はヒラヒラ手を振って、三人が手に持っている袋を見た。
「もしかしてビール?」
「そうじゃが、も一緒に飲むか?」
の目は大きく輝いた。
「ホンマ!?やったーv」
「お子様はさっさと寝た方がいいんじゃねーかァ?」
「ウチ、パウリーみたいに図太い神経してないから、初めての場所じゃ眠れへんねんv」
「お前は全く俺のこと先輩として扱ってねェだろ?」
「ポッポー 誰がお前を敬うか バカ」
「あんだと、コラァ!」
「まァ、いいじゃないか。の歓迎パーティでもしよう。いいじゃろ?パウリー」
「・・・・・・好きにしやがれ」
「ウチの!?そういうの めっちゃスキ!!で、誰の部屋ですんの!?」
興奮気味のに 三人はニイッと笑い、親指で星空を指差した。
「まさかこんなエエ場所があったとはなァ〜」
「特別な場所だからな〜?ありがたく思えヨ!」
「ウォーターセブンで一番高い建物の屋上じゃ。エエ眺めじゃろ?」
「うっわァーすごい眺め!」
夜景がキレイやから驚いてるんやない。この街の複雑さがすごい分かるからや。
どれだけ水路が入り組んでいても、建物がたくさんあっても、美しい街。
こんなモン作った人はすごいなァ。
「はどんな所から来たんじゃ?」
ビール瓶5本くらいあけたところ、カクが言った。
「おー田舎娘!俺も聞きてぇなァ!!」
「パウリー、もう酔っ払ってるんかいな・・・・」
「こいつが一番酒が弱いからな ポッポー」
「うるせェ!お前も同じようなもんじゃねェーか!?」
「こらこら、ケンカしたらいかん。の話じゃぞ?」
「・・・・・・・・・そんな、改まって言うような話ちゃいますよ?」
は曇り一つない夜空に顔を向ける。
「私の生まれた村は、ちっさい港があるだけのなんもないところで、五分歩けばジャングルで、
でも星は当たり前にたくさん見えたし、一年に一回は祭りがあってなァ?楽しみにしてたもんや」
「祭りか。ウォーターセブンにも祭りあるぜ?」
「ホンマか!?」
「市長があの人じゃからのう?」
「クルッポー 花火も豪華だぞ?それを見にいろんな所から客が来る」
「へェー。アイスバーグさんならやりそうなことやなァ?」
と、ふとはルッチの肩に目をやる。
「・・・・・・・・・なぁ、ルッチ?ハットリくん寝てるで?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・!?」
「本当じゃ・・・」
口を押さえて笑うカクに対して、馬鹿笑いするとパウリー。
「ダセぇぞ?ルッチぃー!アハハハ!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・///」
「てゆうか、弱!!??」
パウリーも隣でダイノジになってグーすか寝ている。
ルッチも座ってはいるが、ハットリと仲良く眠っている。
「女の子に負けるなよなァ?」
「が強すぎなんじゃ」
は、それもそうやな?と大きく笑う。
「はーぁあ。なんか落ち着くわァー」
はゴロンと大きくダイノジに寝転がった。
「なにがじゃ?」
「そうや、ウチのこと言おか?」
「聞かせてくれるのか?」
「ウチ、親の顔しらんねんなァ?」
「そうなのか?」
「うん」
物心ついたときには、おやっさんのトコにお世話になってた。
おやっさんは村一番・・・・いや世界一(自称)の職人やけど、めっちゃ厳しい、腹巻巻いた、酒好きや。
家だって、難破船改造したやつやし、狭くて、汚くて、男臭いし。
職場のみんなだって、めっちゃ私のことからかうし。村のみんなだって、ずっとウチのこと子供扱いするし。
「私がココに行くっていったときも、反対もなにもせんと笑顔で見送って・・・・・・・・」
カクがの頭に手を置いた。
「泣きたいときは、思いっきり泣いたらいいんじゃ」
「・・・・・・・・・・もうホームシックやん、ウチ。だっさー」
「仕方ない事じゃ。それだけ皆のことが好きじゃったんじゃろ・・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
そして、は一度まばたきし、深く瞼を閉じた。
少し肌寒い風とカクの暖かい手が心地よかった。
「やっぱガキだな、は・・・・・・・」
背を向けていたパウリーはゴロンと身体を転がし、カクとに向けた。
「なんじゃ、起きとったのか?パウリー」
「いい子だな」
「お前も起きてたのかよ、ルッチ」
「二人とも盗み聞きか?せっかく二人だけで内緒話しとったのにのー?」
カクがアハハハと笑った。
「いい寝顔じゃ。大事に愛されて育てられたんがよくわかる。素直な子じゃ」
「しかたない、度胸と根性だけは一人前だと認めてやるか・・・・」
「多分技術も相当なものだろう 手を見たらすぐ分かる」
「・・・・・・・・・すごい子じゃのぅ、は。明日が楽しみじゃわい」
夜も更けきり、熟睡してしまっている。
「誰がコイツ送るんだよ」
「お前はダメだな」
「なんでだよ!?」
「が襲われる」
「オそわねーよ!こんなガキ!!」
「静かにせんか。が起きてしまうじゃろ?」
結局、じゃんけんに勝ったカクがの部屋まで担いでいった。
みんな、ウチ頑張るからな
次会うときは、すっごいイイ女になってるで
そう、世界一の職人にや
「せかい・・・・・・・・・・・いちのしょ・・・・・・・くにん・・・・・・・に・・・・・・・むにゃ・・・・・・・」
「・・・・・・・アハハ。頑張るんじゃぞ?」
そして、をそっとベットに乗せ、掛け布団をかけた。
「おやすみ、」
もう、夜も明けようとしていた。
Next?