Be happy









今日は9月29日。

なんの事はない、普通の日です。

でも、黒羽ファミリーにとって今日は  特別な日  なのです。


「夏希?今日は おとーさん の誕生日だから、たくさんたくさん祝ってあげようね?」

「うんっ!ボク、いっぱい いっぱい おめでとうって言うの!!」

「お母さんは豪華なディナーを作らないとね〜腕が鳴るわっ!」

「ぷれぜんと はどうするの?」

「それはもうバッチリよっ!」

「ボク、なにあげたらいい?」

「ん〜とねェ・・・・・夏希が一緒にテニスしてあげたりしたら、飛んで喜ぶと思うわっ」



「ボク ぜんぜんうまくないよ〜 テニス」

「いいの いいの!おとーさんは夏希と一緒に遊ぶことだけで幸せなんだからvv」

最近、仕事ばっかりで夏希と遊んでないこと、すごく気にしてるしね?

親バカにも程があるって言うくらい家ではもう夏希にメロメロ。

近所の人からは「カッコいい旦那さん」なのに・・・。

でも、やっぱり自分的にはそんなところが可愛くてスキ。





「今日は、早く帰ってきてくれるかな?」





























「どうする 俺!?」

なんで今日に限って残業なんだ〜

「オイ伊崎〜 今日だけ変わってくんね〜か?」

とりあえず隣にそそくさと帰り支度をしている後輩に頼んでみた。

「まじっすかァ?」

「俺 今日誕生日なんだけどよぉ・・・・」

「そんな嘘ついても変わりませんからね 俺」

「嘘じゃねーって!頼む!家で愛しい家族が待ってんだ!」

「よくそんな恥ずかしげもなくそんなことを・・・・・」

「お前も家族ができたらそうなんだよ。な!?頼むから!今度なんかおごってやるからヨ!」

「・・・・・・・わかりましたよっ。早く可愛い奥さんの元へ帰ってあげてください・・・・・・・・って、もういない?!」





わりぃな!やっぱ持つべきものはいい後輩だな!!

































ハルからメールが来た。もうすぐ帰ってくるらしい。

「ケーキもオッケー。これで準備万端。あとはダーリンが帰ってくるだけ」

「ねェねェ!おかーさんはおとーさんに何をプレゼントするの?」

「ん?おとーさんが欲しがってたものよ?」

「え〜!?なになに〜?」

口に人差し指を置き、

「ナーイショ!あとで教えてあげるからね」

「・・・・・・・わかった!約束だよ?」

「うんっ」



























「やっぱし駅から家まで全力疾走はちょっと無理があった・・・・・」

体力的問題でなく、スーツがしわだらけになってやがる。あ〜、頼むから怒んないでくれな?

そして、俺はドアを開け叫んだ。

「メインが帰ったぞ!」



タッ タッタ タッタ・・・・・・・・・・



「おとーさん おかえりー!!」

夏が走って玄関までお出迎え。

「おかえりっ」

笑顔で向かえる俺の「可愛い奥さん」

「あァ、タダイマ」

俺が置いたカバンをリビングまで運ぶ夏希。

「オイオイ 大丈夫か?重いぞ?」

「ダイジョーブなの!おとーさんは今日はオウサマキブンでいいんだよ!」

「王様気分・・・・・・・?」

「ハハッ 私が言った」

「ってことは今日はなにしてもいいんだよな?」



「うん・・・・・・・・・・・・・ってハル!?」




俺はの腰に手を回し、軽く唇にキスをした。

「お迎えキス、一回やってみたかったんだよな」

「ハル!!キャラが違うから!夏希が見たらどうするの!」

「王様だろ?王様に口答えはないよなァ?」

「もう・・・・・・・はやく着替えてちょうだいっ」

「へーい」











「おぉ〜!!うまそうっ!!」

「でしょ?」

テーブルの上には俺の好きな和食が4,5品乗っかっている。

「これは夏希と一緒に作った肉じゃがっ」

「ボクがやさいの皮むいたんだよ?」

得意げに歯を出して笑っている夏希の頭をワシワシ撫でる。

「ありがとうな!」

「えへへっ」





家族団らん、「幸せな家族」を満喫しながらペロッと全部たいらげる。

「まだ ケーキ食べれる?」

「よゆー よゆー」

「ボクもケーキ食べたい〜!」

そして、はケーキの入ったリボン付きの箱をテーブルにのせる。

箱から出すと、少し大きめのデコレーションケーキ。の上には・・・・



「・・・・・・ハル 誕生日おめでとうvvv・・・・・子供かよ俺はっ」



「ハハッ、嬉しいでしょ?私が書いたんだから!ちゃんと ローソクもいっぱい買ってきたんだからねェ?」

「サンキュー って多すぎじゃねェか?コレ」

「だんだん増えていくものなんだから しょうがないでしょ?ホラホラ 立てて!」



少し苦労して全てのローソクに火を灯し、は電気をそっとけした。




「夏?歌おうか?」

「うんっ!!」

  

二人が歌っている間、二人を眺めながら俺は思った。

幸せな男だ、俺って。






酸欠になりそうなのを堪えて、一気に吹き消した。

俺が待っていたメインディッシュ。ソレをが綺麗に取り分ける。

「大きいのはハルのね?コレが夏の」


「うまそ」

「ありがとー おかーさんっ」






「ねェ、夏希?ほら」

「あっ うん!」



お、プレゼントか?



「はいっ!!」

「夏希〜!!これなんだ!?」


 
ぼくとあそべるけん  って書かれた何枚かの紙。



「えーっとねェ そのけんがあったらボクといあっぱい遊べるんだよ?」

「まじか!めちゃくちゃ嬉しいっ!夏希、ありがとうなァ!」

「えへへっ」

「ね?言ったでしょ?一番コレがお父さんが喜ぶってっ」

やっぱり が言ったんだな?最近俺グチってたからな〜

「うんっ!!で、おかーさんは何あげるの?」

「んーまだあげられないんだよね〜」

「おい 。なんだよ〜教えてくれよ〜」

もったいぶっているに顔を近づける。

「なぁ〜〜?」

は胸に手を置き、一回息を吸った。













「ふたりめ・・・・・・・」













「フタリメ?・・・・・・は?」

「だーかーらァ、家族が増えるのよっ!」



え・・・・・・・・・・・・えェ!?!?


    
「でっでっできたのか!?マジ!?」

黙ってはうなずいた。







「よーっしゃあ!!!!!」

「なに!?おとーさん!!なにもらったのー!?」



俺は夏希を担ぎ、こう言った。

「新しい家族が増えるんだぜ?」

「ホント!?」





「最高のプレゼント、サンキューな!」




夏希を担いだままに抱きつきに行った。

「愛してるぞ〜〜!!!」

「興奮しすぎだから・・・・おとーさんってば」

「いもーとかなァ?おとーと?」


「まだ分からないわ。まだ小さいから」

「どっちでもいい!どっちにしても、またテニス教えるし!!」

「・・・・・・・・やっぱり?」







そして、愛する人に唇を重ねる。

「ありがとうな 世界一幸せな男にしてもらって」

「バっバカなこと言ってないで、早く夏希とお風呂はいってあげてっ」




「あっ俺、今日は王様なんだよな?」

「ハル?」

「一緒に入ろうぜ?家族水入らずでっ」

「・・・・・・・言うと思った」





幸せにするからと約束した身分なのに、

こんなにも幸せにさせられている俺は情けない男かもしれないけど、

一生かけて幸せにしてやるから ずっとそばにいてくれるよな

それで おあいこ だろ?













END