前夜









半身浴で小一時間、上がって頭乾かしながら牛乳ガブ飲みして、好きな歌を聴きながら歯を磨く。

やっていることは、いつもと同じ。

でも、心臓はいつもより早く動いている気が・・・






「明日からか・・・・・」






全国から選び抜かれた学校が優勝狙って競い合う。

中学テニスの全国大会。

「あァ・・・やっぱり応援行きたい・・・」

私の母校でもある六角は今年も、もちろん出場する。

古豪と謳われた六角の四位通過。

今年はなんとも強い学校がたくさんいるらしい。

あの子たちにとっては嬉しいことだと思うけど、先輩としてはやっぱり不安材料で・・・

そして、こんなことを思うのはちょっとアレなんだけど・・・



メンバーに彼氏くんがいるので、本当に優勝して欲しいなァ・・・みたいな。

しかも、みんなイイ子たちなんだよなァ・・・









部活に入っていたら経験済みなんだけども、やっぱり最後は勝つか負けるか。

いくら一生懸命頑張って練習しても、結局はソレだから。

あの子たちが泣くところなんて想像もしたくないけど、現実は厳しい。

でも、私にとったら一番だから。






だから勝ってほしいんだ。






頑張れなんて簡単に言える立場じゃないんだけど、やっぱり君たちが負けるところなんて見たくない。

「やっぱり塾なんか休むか・・・」

そうそう、私は高校三年生。イコール受験生まっしぐらなんですよね。

朝から晩まで勉強勉強勉強勉強。そろそろ死んでしまうかもしれない・・・

でも応援してくれる人たちのためにも、自分のために一生懸命ガンバらないといけない。




あァ・・・でも、たまには生き抜きだって・・・

と私が言ってみると、中学3年の彼に今は死ぬ気で勉強しろって言われましたとも。

そして、俺らも死ぬ気で練習するからさ。と。


驚くくらい大人な彼氏。

中坊だとは思えない、真っ直ぐなバリバリスポーツマン。







〜♪






噂をすれば・・・

自室に彼専用の着メロが鳴り響く。

「よっ・・・・・・・って、いつもながら簡素なメールね」

そして、私は『明日から全国始まるね。緊張してる??』と。







〜♪






『まぁ、人並みに(笑)ってか、窓見てみ?星、綺麗だぜ』

・・・・・・・・なんじゃそりゃ。

なんか少し照れるくらいのキザなメールを見て、噴出した。

そして、言われるがまま窓を開けて空を見上げる。




「あ、ホントだ」







「な?言ったとおりだろ?」













んな、バカな・・・・

「なんでいるかなぁ〜・・・・?」

歯を出してニィっと笑っている黒いティーシャツを来た少年が、自転車を止めて片手をあげている。


「いやぁ〜、いきなり会いたくなってきちまってな〜」



・・・・そう言われて嬉しくない女はいないことを中三の分際で分かってるの?



「やっぱり緊張してんだね」

「だから人並みに」

「待ってて。今から降りるから」

「いいよ、そこで。風呂はいったんだろ?風邪ひくだろ」

「別にいいよ〜」

「よくねぇだろ、受験生」

「そういう春も受験生」

「俺はいいんだよっ。まだ、六角中テニス部レギュラーだぜ、コノヤロー」

「分かってますとも」

誰よりもね。






「なぁ〜、明日お前来れねーからさ・・・・」

「?」

「今、応援してくれない?」

「え・・・・・・・・あ、うん。明日電話しようと思ったんだけど・・・」

「直接頼む」

あ、今顔赤くなった。



「はいはい・・・」

そして、少し息を吹き込み、近所迷惑にならない程度に叫んだ。






「黒羽 春風!胸空けて待ってるから、いつでも泣きついていいからね!!」





「負けるの前提かよ!!!」

「さすが・・・!ナイスツッコミ!!」

「てんめぇ〜・・・・・」

「嘘だって、ウソ!カッコよく優勝してきて下さいよ!」

「オウ!」



・・・・・・・・・・



「ねぇ・・・・・・・・・やっぱり明日・・・・・・・・・・」

「お前は勉強!」

「え〜!?なんで!?」

「黙って待ってろ。ちゃんとお守り持ってくし」



携帯を自転車のカゴから出す。ストラップは一つだけ。

私が徹夜して作った六角ユニフォームのお守り。


「アイツら全員、携帯につけてるから。で、これも」

「それはつけちゃダメでしょ、さすがに・・・」


左指に光る銀の指輪。





「ネックレスにすんだ。紐通してな」

「そんなにご利益無いと思うけど・・・・」

「じゃなくて!お前の代わりとしてだなぁ・・・」

「あぁ・・・・・・うん・・・・・・・・・」








「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」









「あー!!!!じゃ、俺帰るから!!!!」

「ちょ、ちょっと待って!」



最後にコレだけ・・・・・・・・



「頑張れ!!ってみんなに言っておいてね!!」

「あぁ!」




そして、自転車の明かりが見えなくなるまで見送った。














明日から全国。

全国から選び抜かれた学校が優勝狙って競い合う。

「あァ・・・やっぱり応援行きたい・・・・・けど、大丈夫だ。あの子達なら!」















塾終わったら、すぐに会いに行くからね。

楽しんできてね、みんな。














end









アトガキ
っつーわけで、高3×中3ってゆうね・・・アハハ・・・趣味丸出しだYO(*´∀`)ノ
ってか、夏休みとか普通に後輩の試合とか見に行ってましたけど、俺っちは・・・(爆)
てゆうか、ホンマに六角応援しに行きたいとか思うんですけど・・・
いや、もうジャンプ見るのつらいんですけど・・・あぁ・・・
多分パンプキンさん泣いちゃいますよ。だって六角大好きだもん。
いいや。もうネットで六角ウハウハするから!!
六角みんな大好きだよ〜ずっと好きだよ〜ガンバレYO〜♪(六角応援ソング)