〜隣〜














「雨だな」

「雨降ってるの!?」

今日は仲良く学級委員の用事でお残りです、私たち。

さっさと帰り始めればいいのに、バネちゃんてば世間話し始めるんだもん。

バネちゃんの話は面白いから、時間忘れるんだよな〜

「ヤベ。カサねぇし・・・・」

机に肘つきながら目を細め、窓の外を眺めるバネちゃん。

「ふふん」

「なんだその笑顔は」

カバンから折りたたみを出して、机の上に置く。

「気の利く彼女でしょ?」

「ハハッ 自分でゆうなっつーの」









バネちゃんが上靴から履き替えている中、

私はお気に入りの水色傘を開く。


「あぁ、もっと大きい傘持ってくればよかったな」


独り言のような微かな声に、バネちゃんは言葉を返した。

「いいじゃん。くっつけ、くっつけ」

私の傘を奪い、私の肩に身体をくっつけるバネちゃん。

私の小さい傘がバネちゃんにはあまりにもミスマッチで、面白かった。

「何笑ってんだよ、

「やっぱり大きい傘持ってくればよかったよ」

「相合傘、久しぶりじゃん」

「はみ出すと思うけどね」

二人で苦笑いをした。












少し大降りな雨は容赦なく、私たちを濡らす。

でも、なぜか私よりバネちゃんの方が濡れてる。

「スキだな」

「は?」

「バネちゃん大好き」



私が濡れないようにしてくれてるんだもん。

バネちゃんの身体半分びしょ濡れじゃない。




「・・・・・・・・俺も大好き」

「両思いだね」

「だな」

「あ、バカップルみたい」

「バカップルで結構。むしろそれでいいし」

「アハハッ」



















私の家まであと十分。バネちゃんの家までマイナス五分。

「ホントいいのに。送ってもらわなくても帰れるよ?」

「んなわけいくかヨ」

「でもね?そのほうがお互い濡れないですむと思うの」

「・・・・・・・・・あ、たしかに」

「ハハッ でも、いいや。私ん家行って頭乾かしてったらいいよ。ついでに夕飯でも、どう?」

「まじ!?」

「まじ」

「やっりぃっ」

本当に無邪気に笑うよなァ。

こんな背ぇ高くてカッコよくて大人っぽくても、そんな顔みたら、同級生ってやっと実感できるよ。






ふと下を向いたら、水溜りが眩しく光った。



「あ、太陽出てきた?」

傘をずらし、顔を出す。

「止んだねっ」

「アンド、虹」

バネちゃんが前方の空を指差す。

見上げると何万色もの色が重なっている橋が見えた。

「キレー・・・・・・・・」

「ホントだな」






「なおすぜ?コレ」

「ありがとうございます」

思いっきり傘を振って水を落とす。

そして、器用にクルクル折りたたみ傘を回し、キレイに直すバネちゃん。

「早く乾かさないと風邪引いちゃうね。さすがに秋は寒いよ」

「学ラン、水吸ってすんげぇ重いんだけど・・・・」

「家で着替える?」

「いや、クラブジャージあるから大丈夫。サンキューな」








「帰るの?」

「ん?」

「家に」

「お前ん家だろ?」

「あ、来てくれるのか・・・」

「やなのかよ」

バネちゃんが口をへの字にしたのが面白くて笑ってしまった。

「ハハッ 逆に決まってるじゃんっ」

「・・・・・・よかった。久しぶりにのママの飯食えるなっ。楽しみだっ」










「ホラッ」

傘を持っていた手を私の顔の前に差し出した。

「行くぞ?」

私は左手を上げようとすると、すぐにバネちゃんの手に捕まえられた。

「わっ」

「やっと手ぇ繋げるな?」

いきおい余ってバネちゃんの腕にぶつかった。

傘で濡れていないバネちゃんの腕はすごく温かくて気持ちイイ。

「うん。やっと手、繋げるね」








私の雨で冷えた右手も、バネちゃんと手を繋いだら温かくなっていった。

冬になって、どんどん寒くなっていっても大丈夫かな、なんて思ったりして・・・・

だって、バネちゃんの隣はとても温かいんだもん。
















「バネちゃんの隣、ずっと私だけの場所にしておいてね?」





そう言った私に、バネちゃんは照れながら大きく笑った。



















END






























アトガキ
なんじゃこりゃーーーーーーーーー!!!???ぎゃーーーーー!?
書いてて恥ずかしい
・・・・・・けどその恥ずかしさがいいのです。笑
最近バネさんをバネちゃんて言わせるの、私の中で流行ってます。幼馴染っぽいかな、とか。
あーーーーーバネさん、アンタのことやっぱり好きだよ。
私は病気だよ・・・・黒羽病という病気だよ・・・・・ってアトガキになってないから!(汗)
っつーわけで、ポルノの「天気職人」イメージでした。この曲名曲です。大好きです。